ああ もうすぐなんだ

と 

すぐに わかった

がくん・・・

と 

不自然なほどの減速を背中に感じて

すぐに わかった

東京でいえば 日比谷線が 

そうだった

あの頃 中目黒手前

ガク・・・ウム・・・!

息をひとつ飲み込んだ列車の

思い出を思い出す速度

祈りのような速度

やっとのことで前に進んでトンネルから顔を出していた

ものだった

・・・ごめんなさい わたし

この駅と この駅のあいだに それが あるということは

知っていた・・・

でも 詳しくは知らなかった

けど、

ああ、ここからなんだ・・・

と 

すぐに、わかった

 タ・・・・

  タ  タ  タ  ン ・・・

    タ   ン  タ   ン ・・・・

夜更けの静かな街に弧を描く

通勤電車の白い軌跡

線路の継ぎ目の音の間隔が

  タン  タ   タ   ン ・ ・・

広がってゆくよ

  わす れ  な   い ・・・

それから ゆっくり ゆっくり 列車はカーブを進み

やがてみえてくる白い灯りの献花台

そして至近距離に マンションの 駐車場

 そこはなんて小さいのだろう

 そこはなんて近いのだろう

 こんな小さなところで

 あんなことが起こった・・・

・・・車掌も乗客も何も語らない

黒い服のまま 何も語らない

運転士がただ減速をして

あの日のなごりを つれてゆく

わたしも祈りをささげます

もう あんなことが

二度とは

起こりませぬように・・・